rem koolhas というか oma/amoが作成した本、
project japanについての
日本記者クラブでのremの講演会映像を観た.
メタボリムズについての本なのだけれど、
内容としては、
戦後から高度経済成長期終わり80年代半ばくらいまでの
日本の建築を取り巻く歴史を取りまとめたような体裁らしい.
(僕は読んでない、、)
メタボリズムという発想は、
国家の急速的な拡大という、国家プロジェクトの一貫として
行われていたこと、
そのような建築家が中心になったようなプロジェクトは
近代国家では希有だったこと、
アフリカや中東では、アンチ欧米の中、モダニズム的な建築が求められ、
副次的に欧米からの距離があった日本のモダニズム建築家が
重宝されたことで丹下さんだとかのマスタープランがたくさんあったこと.
など、
建築の歴史が国や外交だとかの大きな文脈の中で語られているのは、
さすがamo という明瞭な切り口でおもしろそうだった.
ただ、
この本で一番おもしろそうだったのは、
rem自身もそう語っていたのだけれど、
丹下健三という人物のこと.
というのも、
丹下自身はメタボリストではなく、一つ上の世代であるし、
その意味でも注目する建築も無く、
当初このプロジェクトではあまりフィーチャーしていなかったらしい.
ところが、
取材を続けていくと、
どうも丹下はすごいらしい となってきたらしい 笑
そのような建築家も非常に稀で、かつ貴重で、
メタボリズムプロジェクトの発生に大きく寄与している
ことが分かってきた.
具体的には、
1つは、彼自身が既に有名な建築家ではあったけれど、
それを、当時一般家庭に普及し始めていたテレビというメディアを
効果的に使い、”建築家”という存在のレゾンデートルを高めた事.
2つめに、
黒川記章だとか、東大丹下研究室の門下生を、
積極的に外部でのプレゼなんかに表立って出させて、
”新進気鋭建築家”的なものをプロモートしていた事.
3つめに、
そういった弟子たちへの結婚相手の紹介のような、
プライベートな世話までいろいろとして、
横や縦の人の繋がりをつくっていったこと.
こんな人は、多分今の日本建築業界では皆無だし、
世界でも殆ど聞いたことが無い事例だと
remが言っていた.
今で言うと、
メディア的には安藤忠雄がそういう立場なんだろうけど、
そういったネットワークを構築するような人では無さそうだ.
槙さんも、素晴らしい人だけど、
メディア的、政治的にインパクトに欠ける.
要するに、
○○事務所 の枠を超えて、
建築業界だとかを代表していろんな所に繋がっているような人って、
いないよなー という.
都市計画家と政界 不動産業界 ゼネコン業界 は
けっこう太いけど、
ちょっと黒すぎるのか、茶の間的な場所への影響力って、
直接的には全然無いし.
丹下先生は、
本当に偉大というか希有な人だったんだなと、
藤森さんのでかい丹下本を読む気になれず、
あまり知らないままだったので、
またひとつ、気になる人物になった.
自分が自分が、
自分の事務所が事務所が じゃなく、
業界のため、ひいては日本のために動いてたような彼は、
宮台真司的に言うと、
まさに模倣的感染を引き起す、カリスマだったのか.
坂本龍馬みたいな.